しかし必ずしもタッチタイピングができる必要はありません。タッチタイピングはできないけれど、優秀なプログラマーは大勢います。
2倍速く入力できるプログラマーが、2倍速くシステムを作れるかというと、そんなことはありません。プログラミングは、思考する時間の割合が大きいからです。
タッチタイピングができなくても大丈夫ですが、できたほうがプログラミングを行なう時のストレスが少ないことは事実です。
例えば初心者がプログラミングを学習する時は、サンプルのソースコードを入力して、実際に動かしてみることが効果的ですが、タッチタイピングができると、数十行のソースコードくらいなら苦にならないのです。
私はプログラマーの育成経験がありますが、やはりタッチタイピングができる人のほうが余裕があります。入力スピードが速いので、ソースコードをじっくり読む時間がとれるのです。
逆にタッチタイピングができない人は、入力に精一杯で、ソースコードを読む余裕がありません。
これから先の長い人生を考えると、タッチタイピングは習得しておく価値があると思います。しかも習得はそれほど難しくないのです。
私がおすすめする方法は、適度に同じ文章を繰り返し入力することです。人間は知っていることに、知らないことが少しだけ混じった場合に、脳が活発に働くそうです。
まったく同じことの繰り返しなら、脳が飽きてしまうし、すべて新しいことなら疲れてしまいます。同じ文章が適度に入れ替わるくらいが良いのです。
ちょうどピッタリのサイトがあるので紹介します。イータイピングでは様々な分野の文章が用意されているので、一石二鳥で学習できます。
・無料タイピング練習サイト「イータイピング」
http://www.e-typing.ne.jp/index.asp
「なんだろな?」 → 「元気が出る言葉」などもおすすめ
ここからが大事なポイントですが、1ヶ月でタッチタイピングができるようになるためには、以下のことを守ってください。
・1日10分だけ集中してやる。10分以上は必要なし。
・好きなタイピングを決めたら、しばらくは1つだけに絞る
・ホームポジションは必ず守る
・最初はキーを見ながらでかまわないので、大体の位置を覚える
・慣れてきたら「目をつぶって」やってみる
・声に出しながら入力する
タッチタイピングを短時間で習得するには、中途半端はダメで、思い切って目をつぶってしまいましょう。当然最初はできないはずですが、入力する文章を読み、目をつぶって、キーボードをイメージして、思い出しながら練習します。
間違えた時はビープ音が鳴るので、目を開いて確認したら、また目を閉じて入力します。この練習を毎日欠かさず10分間だけ行ないます。
しばらくすると、文章も覚えてしまうし、指が勝手に動くようになります。声を出すことも忘れないでくださいね。
脳科学者の茂木健一郎さんが、学生時代から続けてきた暗記法に、「鶴の恩返し勉強法」というものがあるそうです。
なりふりかまわずに声を出し、何度も書くことから、人に見せられるものではないため、鶴の恩返し勉強法というのだそうです。
・声に出す
・ひたすら書く
・思い出しながら行うこと
長期記憶に関わる脳の部位は、五感を司る部分と近い場所にあるため、効果があると考えているようです。実際に実験でも脳の血流が増加していました。
私が提案しているタッチタイピングの練習方法も、ちょうど同じような効果を狙ったものです。声に出し、ひたすら入力を繰り返し、思い出しながら行なうことで、短期間でタッチタイピングができるようになります。
【タッチタイピング】
タッチタイピングとは、キーボードを見ないで入力ができることです。ブラインドタッチということもありましたが、最近はタッチタイピングという方が定着しているようです。
タッチタイピングは、パソコンの画面を見たまま入力できるので、キーボードを確認する必要がない分、速いし疲れません。
【ホームポジション】
・右手の人差し指は Jキー
・左手の人差し指は Fキー
キーボードをよく見ると、Jキーと Fキーには突起があります。突起に触れる感覚をたよりにすると、キーボードを見なくても入力できます。