なにもプログラマーとして就職する、という難しい話しではありません。
プログラミングを始める段階では、自分のためにシステムを作るのがよいと思います。効果が出やすいし、自分だけが使うシステムなら、多少の妥協はできるので、プログラミングをはじめる壁を低くできます。
しかしプログラミング言語の文法を覚え、ある程度自信が付いてきたら、次の段階に進む時期です。
実は技術をレベルアップするという視点でみると、他人のためにシステムを作る経験が一番効果があります。
できればお金をもらって、仕事として作るのが理想的です。金額はいくらでもかまいません。5万円でも1万円でもいいし、自信がなければ5千円、3千円くらいからはじめてもいいでしょう。(ちょっとはやる気が出る金額がいいです)
お金をもらうとなると、責任を感じて良いものを作ろうと思うはずです。わざと自分にプレッシャーをかけて、本気になるような状況を作るのです。
自分で使う分には妥協していた部分も、ちゃんとユーザーが使いやすいように工夫しなければなりません。
またユーザーから要望を聞く練習にもなります。人の話を聞く作業はとても大事です。自分だけのシステムなら、自分が一番詳しいはずですが、他人が使うシステムは聞かないと作れません。
何に使うのか、どんなデータを入力するのか、どんな画面が使いやすいのか、どんな計算が必要なのか、どんな帳票が必要なのかなど、いろんな情報が必要です。
これまでにあなたが経験したことのない業務なら、業務自体についても調べなければなりません。システムを作るということは、ユーザーが行なっている業務の一部を、あなたができるようになるということでもあるのです。だから仕事のスキルも向上します。
「お金を払ってくれるユーザーなんて、どうやって探すんだ」と思うかもしれませんが、まったく知らない人を見つける必要はありません。
実は身近なところにもチャンスがあるのです。私は以前にこんな面白い経験をしました。
仕事とはまったく関係ない、中学生以来の友人に頼まれて、パソコンを購入する時に一緒に行ったり、セットアップ、インターネットの接続、Excel や Word などの基本的な操作を教えました。
ここまではよくあることですが、後日、友人が勤める会社が、業務システムを作りたいということで、開発を依頼されました。最初は小さなシステムだったのですが、「あれも作れない?これもお願い。」とどんどん広がり、最終的には100万円以上いただきました。
また別の知人とは、ネットショップの話をしていただけです。「ネットでこんなものを販売しているんですよ。」とか「料金の回収はこうで、配送は・・・」くらいの何でもない話です。
しかしなぜか開発を依頼されました。ネットショップとはまったく無関係のシステムです。
これは20万円くらいになりました。ちょっと面白いシステムだったのと、すごくニッチな業界向けだったので、地方紙ですが新聞記事になりました。その影響で他社からの問い合わせもいただきました。
本当に役立つシステムを作れば、どんどんチャンスが広がっていく例ですね。
このように、結構身近にもシステムを開発したいという要望はあるのです。でも普通はどこに頼んでよいのかわかりません。ソフト開発会社を知っている人は少ないですよね。だから身近な私に頼んだわけです。
初心者の友人からしてみれば、私を「頼れる人」と勝手に位置付けてくれたのでしょう。
「友人にはちょっと」という人は、両親や兄弟からはじめて、叔父、叔母、従兄弟に広げて聞いてみると良いでしょう。数千円くらいなら話しやすいと思います。
自信がないうちは、金額を安くして、そのかわり納期を長くするとよいです。納期が長ければ、夜や週末だけ作業することも可能です。
初心者は調べながら開発することになるので、時間はなるべく多く計算しましょう。次第にどれくらいの規模なら、どれくらいの日数が必要なのかわかるようになります。
システムの規模も、ちょっと頑張ればできそうだと思うレベルが適しています。無理なレベルの仕事を引き受けて、信頼を失うことがないように注意してください。
ポイントはユーザーの話を聞いて、検討が付くかどうかです。「あの本を調べればなんとかなるかも」というように、見通しがたてば失敗は少ないです。
Accessだけで作れるシステムとか、Webブラウザで動作する簡単なものが良いと思います。
最初は採算を度外視した開発になると思いますが、あなたのスキルアップへの投資だと思えば、十分元はとれます。